2024年 「第9回 石本正 日本画大賞展」 受賞作品

大賞


 北川 麗  きたがわ うらら(嵯峨美術大学 修士1年)
《曇天

 

【作品コメント】

今にも降り出しそうな空の下で、心にも重い雲がかかっていた。普段は気に留めていない家屋が不安に震えているかのように見え、垂れた電線はまるで私の沈んだ気持ちを映しているかのようだった。

 

【受賞のことば】

これまでとは考え方を大きく変えて挑んだ作品だったため、今回の結果は非常に感慨深いものがあります。  

この度は、大賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。これもひとえに、日頃から支えてくださる皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。今後も謙虚な姿勢を忘れず、真摯に制作に取り組んでまいります。


準大賞(第一席)


 石禾 実紅 いさわ みく(武蔵野美術大学 修士1年)
《早く朝日が昇りますように

 

【作品コメント】

悩める夜にいる私やあなたにも、いつかは必ず朝日が降り注ぐのです。

その時は優しく朝が来て欲しいと、そう願うばかりです。

 

【受賞のことば】

この度は準大賞という素晴らしい賞を頂き、大変光栄です。この作品は、夏季休業中に島で過ごした10日間の体験から生まれました。自然に囲まれ、日常の忙しさや都会の喧騒から解放された穏やかな時間の中で湧いた願いを描きました。これからも、自分らしい表現を追求し続けたいと思います。ありがとうございました。


準大賞(第二席)


安積 明里  あさか あかり (筑波大学 修士1年)
 《跡》

 

【作品コメント】

大学のアトリエの壁に打ち込まれた釘や張り紙のテープ跡、手垢などをぼんやり見つめ、そのひとつひとつに意味があったことを想像します。それはこの場所で学んだ先輩方の痕跡であり、歴史を表しているように感じました。

 

【受賞のことば】

この作品を制作している間にも、壁に跡が増えたり、並んだ本の順序が変わったり、この場所は変化を続けていました。人々が関わることで変化していく様子が面白く、この場所のストーリーを想像して描いた作品です。名誉ある賞を頂いたこと、大変嬉しく思います。今後も自分らしく作品と向き合い、精進してまいります。


特別賞(日本海信用金庫 理事長賞)


石黒 光 いしぐろ ひかる (東北芸術工科大学 修士1年)
 《五劫(ごこう)の擦り切れ》

 

【作品コメント】

私自身を擦り込む、それは途方に暮れるほどに長く、省略することの出来ない喪の作業である。

 

【受賞のことば】

この度は日本海信用金庫理事長賞という名誉ある賞を賜り、心から感謝申し上げます。この1枚を完成させる間に大切な人、愛犬を亡くしました。しかし、どん底に居た私を引っ張り上げてくれたのもこの1枚でした。描くという行為が私にとってどれほど大切かを再確認出来ました。がむしゃらに描き続けます。


特別賞(浜田芸術文化のまちづくり推進協会賞)


 陳 暁雅  ちん ぎょうが(京都芸術大学 修士1年)
 鏈(くさり)

 

【作品コメント】

女性の人体と足と細胞で染色体の細胞形状を構成し、千百年の遺伝における細胞と人間の相互作用を考える

 

【受賞のことば】

この度、「浜田芸術文化のまちづくり推進協会賞」をいただき、大変光栄に思います。いつもご指導くださる先生方にも心より感謝申し上げます。 私はいつも新しい技法でどうすれば作品をもっと面白くすることができるのかを考えて作っています。今後もより面白く作品と向き合えるよう精進して参ります。

 


奨励賞(50音順)


 

煙雨川田 温子 かわた はるこ

(京都市立芸術大学 修士1年)

 

【作品コメント】

形も色も様々な鉢植えの表情は人間のように感じることがある。雨の中物言わずじっとこちらを見つめる彼らを通して、日々を振り返る。

 

【受賞のことば】

この度は奨励賞をいただき、心より感謝いたします。自分の絵について悩みながら制作した作品だったので、このような評価をいただけてとても励みになりました。この経験を忘れず、これからの制作も絵と実直に向き合い精進して参りたいと思います。

 

遠イ風河元 愛香  かわもと まなか

(広島市立大学 修士1年)

 

【作品コメント】

柔らかな曇り空と、青いイチジクの香り。記憶を咀嚼しながら、心に浮かぶ景色を描き留めたいと思った。

 

  

【受賞のことば】

この度は奨励賞をいただき誠にありがとうございます。

本作はいつもとは違う基底材や絵の具に挑戦し、自分なりに新たな表現を模索した作品でした。このような評価をいただけた事を励みとし、今後もより一層制作に励んで参りたいと思います。いつも制作を応援してくださる皆様に、心から感謝申し上げます。


《じゃがいも畑上羽 真由 じょうば まゆ

(崇城大学  修士2年)

 

【作品コメント】

ふと通り過ぎた畑。

土とビニールシートの色のコントラストが面白くモチーフに選びました。

この日は少し雨が降っていたけど晴れ間もあって、ビニールに映る空を入れました。

 

【受賞のことば】

この度は奨励賞を賜りましたこと、誠にありがとうございます。

自身の初めての受賞ということもあり、大変嬉しく思います。

ご指導いただいた先生方、制作を共にした友人や応援してくださった皆様に、この場をお借りして改めてお礼を申し上げます。

また、これを励みにより一層精進してまいります。

蘭鋳(らんちゅう)》 髙田 波花  たかだ なみか 

(奈良芸術短期大学 専攻科1年)

 

【作品コメント】

幼少期に家族と訪れた大和郡山の町が忘れられず、当時訪れた金魚資料館に出向き、蘭鋳を描くことにしました。

当時に思いを馳せる私の心情が水の動きのように蘭鋳と泳いでいることをイメージし制作しました。

 

 

【受賞のことば】

写真や文章で完結出来ない肌で感じた作者だけの記憶や景色を表現して残すことができるところが絵をやっていて「いいな。」と思う瞬間です。 

賞というかたちで作品を認めて頂けたことを幸いに思いますし、これからも素直な心を大切に進んでまいります。ありがとうございます。

 


 

庭の唄》 李 丹 り たん 

(女子美術大学 修士1年)

 

【作品コメント】

『庭の唄』は、日常の行動と自己愛の意識を描いた作品で、独自の表現方法と材料を用いています。岩絵具と墨を使い、紙テープ、段ボール、ガーゼを組み合わせて、異なる環境における自己愛のバランスを表現しています。

 

 

【受賞のことば】

この度、奨励賞という名誉ある賞をいただけたことを大変光栄に思っております。 私の現在の研究テーマは、岩絵具や水墨を用いて自己愛と日常の行動をテーマにした表現を追求することです。特に、自然素材を活用した技法により、記憶や感情を表すことに力を入れています。今回の受賞は、私にとって大きな励みとなり、これからも自分の表現をさらに深め、独自の視点で作品を作り続けたいと思います。 

 

このような貴重な機会をいただいたことに、心より感謝申し上げます。ご指導、ご支援いただいた皆様に感謝の意を表すとともに、これからの創作活動に一層精進してまいります。 

 


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