受賞作品

 

島根県浜田市出身の日本画家・石本正画伯(1920-2015)の功績を顕彰し、未来への希望に満ちた学生たちの創作活動を奨励するために開催してきた「石本正日本画大賞展」。全国の日本画専攻を有する美術大学に、優秀な学生作品の推薦を依頼し、今年は29校よりご出品いただきました。

そして9月6日(金)、全83作品の中から大賞1点、準大賞2点、特別賞2点、奨励賞5点を決める審査会が行われました。

審査員の土屋禮一先生、奥村美佳先生、西久松吉雄館長(石正美術館)による厳正な審査の結果選ばれた受賞作品を発表します。受賞者の皆さま、おめでとうございます!

 

【 大賞 】

《曇天》 

北川 麗 きたがわ うらら

嵯峨美術大学 修士1年

 

【作品コメント】

 今にも降り出しそうな空の下で、心にも重い雲がかかっていた。普段は気に留めていない家屋が不安に震えているかのように見え、垂れた電線はまるで私の沈んだ気持ちを映しているかのようだった。

 

 

 

 【 準大賞 】

  第一席

 《早く朝日が昇りますように》

  石禾 実紅  いさわ みく 

  武蔵野美術大学 修士1年

 

【作品コメント】

悩める夜にいる私やあなたにも、いつかは必ず朝日が降り注ぐのです。

その時は優しく朝が来て欲しいと、そう願うばかりです。

  第二席

 《跡

  安積 明里   あさか あかり 

 筑波大学 修士1年

 

【作品コメント】

大学のアトリエの壁に打ち込まれた釘や張り紙のテープ跡、手垢などをぼんやり見つめ、そのひとつひとつに意味があったことを想像します。それはこの場所で学んだ先輩方の痕跡であり、歴史を表しているように感じました。

 


【 特別賞 】

 日本海信用金庫 理事長賞

《五劫(ごこう)の擦り切れ》 

 石黒 光 いしぐろ ひかる 

 東北芸術工科大学 修士1年

 

【作品コメント】 

私自身を擦り込む、それは途方に暮れるほどに長く、省略することの出来ない喪の作業である。 

 浜田芸術文化のまちづくり推進協会賞

《鏈(くさり)

 陳 暁雅 ちん ぎょうが 

 京都芸術大学 修士1年 

 

 【作品コメント】

女性の人体と足と細胞で染色体の細胞形状を構成し、千百年の遺伝における細胞と人間の相互作用を考える

 


【 奨励賞 】(50音順)

《煙雨(えんう)

 川田 温子 かわた はるこ  

 京都市立芸術大学 修士1年

 

【作品コメント】 

形も色も様々な鉢植えの表情は人間のように感じることがある。雨の中物言わずじっとこちらを見つめる彼らを通して、日々を振り返る。

 

 

《遠イ風》

 河元 愛香 かわもと まなか

 広島市立大学 修士1年

 

【作品コメント】 

柔らかな曇り空と、青いイチジクの香り。記憶を咀嚼しながら、心に浮かぶ景色を描き留めたいと思った。


《じゃがいも畑》

 上羽 真由 じょうば まゆ 

 

 崇城大学 修士2年

 

【作品コメント】 

ふと通り過ぎた畑。

土とビニールシートの色のコントラストが面白くモチーフに選びました。

この日は少し雨が降っていたけど晴れ間もあって、ビニールに映る空を入れました。

《蘭鋳(らんちゅう)

 髙田 波花 たかだ なみか 

 奈良芸術短期大学 専攻科1年

 

【作品コメント】

幼少期に家族と訪れた大和郡山の町が忘れられず、当時訪れた金魚資料館に出向き、蘭鋳を描くことにしました。

当時に思いを馳せる私の心情が水の動きのように蘭鋳と泳いでいることをイメージし制作しました。


《庭の唄》

  李 丹 り たん 

 女子美術大学 修士1年

 

【作品コメント】 

『庭の唄』は、日常の行動と自己愛の意識を描いた作品で、独自の表現方法と材料を用いています。岩絵具と墨を使い、紙テープ、段ボール、ガーゼを組み合わせて、異なる環境における自己愛のバランスを表現しています。